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第29回 市民医学講座 メタボリックシンドロームについて

佐藤病院 佐藤龍行

昨年は特定健診が始まり、国民的に関心の高いメタボリックシンドローム、メタボリック症候群について、一般向けにお話させていただきました。会員の先生方には釈迦に説法とは思いますが、講義の内容に沿ってその概略をご報告申し上げます。

メタボリックシンドロームとは、内臓の脂肪がたまることにより、様々な病気を引き起こす状態です。生活習慣病と呼ばれる高血圧・脂質異常症・糖尿病の進行に、内臓脂肪の蓄積が大きくかかわることは以前から言われていました。不健全な生活習慣が続き、内臓脂肪が蓄積すると、アディポネクチンのような身体にとって良い物質が減少し、TNF-αやアンジオテンシノーゲンのような、不都合な物質の増加により、生活習慣病を併発しやすくなります。たとえ血圧が少し高めの高血圧予備軍や血糖値が少し高めの糖尿病予備軍といった、病気と診断されていない段階でも、併発すると動脈硬化の危険性が急激に高まり、心筋梗塞や脳卒中の危険性が高くなるため、早い段階で対処することが大切です。

1980年代後半から、肥満と生活習慣病の併発が、心臓病や脳卒中の危険性を増やす事は、世界中の様々な研究者により提唱されてきました。しかし、研究者ごとに異なる名称で呼ばれ、とりあげている要素も少しずつ異なっており、明確な診断基準が示されていませんでした。WHOやアメリカの高脂血症治療ガイドラインであるNCEP-ATP IIIにより初めて具体化された診断基準が2001年に発表され、これにより臨床応用が可能となり、世界的にメタボリックシンドロームと名称が統一されるようになりました。このうち、最も簡便なNCEP-ATP IIIの診断基準が世界的に広く使用されるようになり、内臓の周りに脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満に加え、糖代謝異常・脂質代謝異常・血圧の高値のいずれか2つ以上を併せ持った状態をメタボリックシンドロームと言うようになりました。

世界的な診断基準が統一されましたが、欧米の基準をそのまま日本人にあてはめることは、人種・体格などの違いがあり、問題があります。そのため日本人に適した診断基準として、2005年4月に日本内科学会を中心とした8学会により構成されたメタボリックシンドローム診断基準検討委員会がメタボリックシンドロームの診断基準を作成しました。

まず、必須項目である内臓脂肪の蓄積を調べるために、ウエスト周囲径を測定します。その基準値を男性85cm以上、女性90cm以上としました。これは2000年に日本肥満学会が定めた、腹部CTで計測した内臓脂肪面積100cm2に相当します。本邦では、内臓脂肪面積が100cm2以上になると、男女とも同様に動脈硬化のリスクファクター保有数が明らかに増加するという報告があり、この基準の根拠とされています。

その他、脂質異常症、高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)かつ/または低HDLコレステロール血症(40mg/dL未満)、血圧高値(収縮期血圧130mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上)、高血糖(空腹時110 mg/dL以上)の3項目のうち、2項目以上に該当するとメタボリックシンドロームと診断されます。

この基準で調査した、厚生労働省「平成17年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、40~74歳男性の25.5%はメタボリックシンドロームが強く疑われていると報告されています。昨年の4月から始まっている特定健診制度では、40歳から74歳までの中高年保険加入者を対象に健康保険者に特定健診の実施を義務化すると共に、メタボリックシンドローム該当者、または予備軍と判定されたものに対して特定保健指導を行うことを義務づけています。5年後に成果を判定し、結果が不良な健康保険者には財政的なペナルティーを課す事によって実行を促す計画です。厚生労働省は、メタボリックシンドロームと予備軍該当者を、平成24年度末までに10%減、平成27年度末までに25%減とする数値目標を立てており、これにより医療費2兆円を削減しようとしています。

メタボリックシンドロームに関係のある、肥満についてですが、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満があります。

皮下脂肪型肥満は、腰やお尻、太ももなどの下半身に脂肪が蓄積する肥満で、果物の洋ナシに似ていることから、洋ナシ型肥満とも呼ばれます。

内臓脂肪型肥満は、皮下脂肪は薄くても、腹腔内に脂肪組織が著明に蓄積した状態で、このような腹腔内の脂肪は主に腸間膜周囲に存在する脂肪であり、これを内臓脂肪と呼んでいます。内臓の周りに脂肪が蓄積する肥満で、おなかが出るので上半身型肥満や、リンゴ型肥満とも呼ばれます。メタボリックシンドロームで問題となるのは、リンゴ型、つまり内臓脂肪型肥満です。

次に高血糖はどのようにして起こるか説明します。

食事を取るとブドウ糖が血液中に吸収され、血糖値が上昇します。インスリンの作用により、ブドウ糖が身体組織の細胞内に取り込まれると、血糖値は下がります。また、インスリンは、余分な糖をグリコーゲンに変えることにより血糖値を下げます。したがって、インスリン量の減少や、インスリンの作用不足、つまりインスリン抵抗性が増悪すると、血糖値の調整ができにくくなり、高血糖が生じます。

次は高血圧です。高血圧は、わが国の成人において最も頻度が高い疾患の一つですが、自覚症状はほとんどありません。また、症状として現れたとしても、頭痛やめまいなど他の疾患でもみられる症状であるため、早期発見が難しく、定期的に血圧を測定していないと見つかりません。自覚症状がほとんどない状態で放置され、少しずつ血管がむしばまれることから、サイレント・キラー(静かなる殺人者)とも言われています。以前は140/90mmHg未満を正常血圧としていましたが、現在は130/85mmHg未満が正常で、140/mmHg未満は正常高値と定義されています。メタボリックシンドロームにおいては、正常高値の段階で診断基準に引っかかります。

脂質についてですが、主にLDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドの3種類が存在します。

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運び、増え過ぎると血管の壁に付着して、動脈硬化の原因になります。HDLコレステロールは、細胞や動脈の不要なコレステロールを肝臓に戻す作用があります。トリグリセライドは、いざというときのためにエネルギーを貯蔵する作用があります。トリグリセライドが増えるとHDLコレステロールが減ってLDLコレステロールが増えやすくなります。

コレステロールやトリグリセライドは悪者のようにいわれることもありますが、ホルモンの材料として使われたり、各組織で細胞を作る上で欠かせない、身体に必要なものです。それ自体が悪いのではなく、血液中の脂質のバランスが乱れることが問題です。

メタボリックシンドロームに関しては、腹囲などの診断基準は今後見直される可能性があります。また、肥満がなければ他の診断基準がそろっていてもメタボリックシンドロームと認定されませんが、高血圧・糖尿病・脂質異常症は単独でも、動脈硬化を進行させるので注意が必要です。その他にも問題点がありますが、生活習慣を改善し、肥満を解消できれば、脳卒中や心臓病になる危険性を減らすのは確かです。メタボリックシンドロームを克服して、明るい未来を手に入れましょう。


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